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花と珊瑚の島 沖永良部島の黒糖焼酎造り

花と珊瑚の島 沖永良部島の
黒糖焼酎造り

沖永良部マップ

鹿児島から南に552km、約1時間半の空の旅で到着する奄美群島・沖永良部島おきのえらぶじま。年間を通して温暖な気候に恵まれ、ウミガメやザトウクジラが見られる断崖絶壁の岬や、天然記念物の鍾乳洞など、長い年月をかけて形成された自然の景観がとても美しい島です。人口は1万2千人あまり、サトウキビやじゃがいも、花卉の生産など農業が盛んで、奄美黒糖焼酎も6つの蔵元で造られています。今回は、島内3つの焼酎蔵巡りとともに、沖永良部島の観光名所を満喫できるおすすめルートをご紹介します。

個性豊かな3つの焼酎蔵巡り

長期熟成で、天に昇る味わい
―原田酒造株式会社―

原田酒造株式会社

島の南西部、知名ちな港近くの街中に蔵を構える原田酒造。すぐ目の前に海を眺めるロケーションで、小さい蔵ながらも他にはない個性のある奄美黒糖焼酎を造ろうと、早くから長期熟成酒の開発に取り組んできました。常圧蒸留で造った原酒は5年以上熟成させることで、角が取れて丸みを帯びた、香り豊かなコクのある味わいに仕上げています。

知名町が誇る天然記念物・昇竜洞にちなんで名付けられた代表銘柄の「昇龍」は、味に深みとまろやかさがあり、幅広い世代に愛される銘柄。長期熟成の古酒に、樫樽で風味付けした原酒をブレンドさせることにより、芳醇な風味をまとわせています。

商品開発から製造、管理まで、蔵のすべてを担う杜氏の有川貞一さだかつさん。出身は愛知県ですが、両親の故郷・沖永良部で縁あって焼酎造りの仕事に就きました。蔵の中を案内してもらいます。

原田酒造では、黒糖は溶かしたものではなくブロックの状態で1次もろみに投入し、時間をかけてゆっくりと発酵を進めさせるそう。黒糖の香りをしっかりと残すためのこだわりです。

1次もろみ投入前の黒糖

黒糖投入後の2次もろみ

仕込んだばかりの原酒は濁っていて、表面にフーゼル油が浮いているのが分かります。雑味となるため定期的に柄杓ですくって取り除いていきます。一方、数年寝かせた原酒は澄んでいて、タンクの底が見えるように!樫樽で熟成中の原酒の香りも嗅がせていただきました。まさに満月に向かって昇っていくような、力強い香りです!

今年の2月に仕込んだばかりの原酒

3年前に仕込んだ原酒

花や果実を感じさせるような清涼感のある軽やかな香りが特徴の「PUKAPUKA」や「コーヒーリキュール」は、蔵で唯一の減圧蒸留酒。沸点が低いため、原料の甘さを引き出すことができると言います。華やかで爽やかな味わいが立つので、水割りや炭酸割りがおすすめだそうです。

もはや骨董品!?創業間もない頃のものと思われる貴重な未開封ボトルを発見!

2022年に新発売した「Dragon Island」は、低アルコールの黒糖焼酎に炭酸ガスを注入したスパークリング黒糖焼酎。瓶のまま飲めるのが新鮮です。「手軽に奄美黒糖焼酎を楽しんでもらおうと開発しました。キンキンに冷やして飲むのがおすすめ」と有川さん。アウトドアやホームパーティーにも良さそう。限定販売の貴重な新商品なので、沖永良部のお土産にもおすすめです。

手間暇かけて育てる、極上酒
―新納酒造株式会社―

手間暇かけて育てる、極上酒―新納酒造株式会社―

島の北西の端に位置する景勝地・田皆岬のある知名町田皆地区。木々が生い茂り、うぐいすがさえずる静かな場所に、新納にいろ酒造の工場はあります。4代目の新納秀浩しゅうこうさんが案内してくださいました。

「年中お湯割り」という新納さん。夏でも汗をかきながらお湯割りを飲むのが好き。

創業は大正9(1920)年、現在の知名町役場前に、3代目当主が茅葺きの製麹場ともろみの仕込み場を建て、泡盛の製造販売を始めたことにさかのぼります。太平洋戦争、沖永良部台風と二度にわたる酒造場の危機を乗り越え、現在の場所に新工場を設立し、焼酎造りを行うようになったということです。

創業からの歴史を伝える70周年碑

代表銘柄の「天下一」をはじめ、古酒の「水連洞」、隠れファンも多いという「天下無双」など、新納酒造で造る奄美黒糖焼酎は、黒糖を多めに使うことで特有の香りと甘みを引き出しています。仕込み水には、珊瑚の島・沖永良部のミネラル豊富な田皆水源の硬水を使っているため、ガッツリと力強い味わいに。

沖縄産の黒糖は産地によって5~6種を使っているそう。

20年以上貯蔵熟成させた「水連洞」の秘蔵酒は、沖縄県の泡盛を造る技法の1つ、仕次ぎ法で長い年月をかけて育て上げた究極の奄美黒糖焼酎。40度のアルコール度数がありながら、熟成により丸みをおびたやわらかい味わいで、香ばしく上品な甘みを感じ、割って飲めばとても飲みやすい!

奄美黒糖焼酎

試飲させてもらったのは、なんと昭和50年代に仕込んだもの。まさに秘蔵酒!

奄美黒糖焼酎

女性でもするすると飲めるようなおいしい焼酎をと開発された、減圧蒸留で造る「をちみづ」も人気です。万葉集に登場する、飲めば若返ると言われた変若水(をちみず)にちなみ、「飲んで笑って、若返って」との思いを込めて名付けられたそう。黒糖の華やかな香りとフルーティーな味わいは、水割りや炭酸割りなどどんな飲み方でもおいしく、柑橘類を絞って飲むのもおすすめだそうです。

ソムリエの田崎真也さんが蔵を訪れた時のサインを発見!

半世紀にわたり新納酒造の味を守り受け継いできた秀浩さん。かつては仕込み時期になると鹿児島本土から黒瀬杜氏がやってきて、その姿を見て焼酎造りを学んだそうです。そのバトンは、現・杜氏を務める甥の仁司ひとしさんに引き継がれていきます。たくさんの時間と手間暇をかけて造る「ひとしずくの大切さ」を、じっくりと味わいたいものですね。

世界で通用する奄美黒糖焼酎を
―沖永良部酒造株式会社―

世界で通用する奄美黒糖焼酎を―沖永良部酒造―

沖永良部空港から県道84号線を車で走ること20分、ソテツの木と朱色の屋根が目印の沖永良部酒造に到着です。旧・德田酒造(現:沖永良部酒造 内東蔵うちひがぐら)、神崎産業、竿田酒造、沖酒造の4社による共同瓶詰会社です。

蔵の壁に描かれた「花恋慕こいれんぼ」という銘柄は、かつて沖永良部の町おこしのために作られた演歌にちなんだ商品だったそう

4代目の德田英輔さんが迎えてくれました。沖永良部酒造では、島でもっとも古い大正6年創業の沖酒造をはじめ、それぞれ規模は小さいながらも代々受け継いできた味をブレンドしながら、個性豊かな銘柄を造り出しています。ちなみに旧・德田酒造以外は3蔵とも女性の社長。德田さんによると、「3蔵ともご主人が元々別のお仕事をされていて、奥様が家業を継がれている」ということです。

冷たいコーヒーと沖永良部の郷土菓子・田芋餅をいただきながら、お話を伺いました。

そんな4蔵が手を取り合って造る代表銘柄「稲乃露」。フランスで飲食業界のプロフェッショナルたちが審査員を務める「Kura Master 2023」にて黒糖部門のプラチナ賞を受賞し、さらに本格焼酎・泡盛コンクールで上位銘柄の中から選出される審査員賞に輝きました!

こだわりは、主原料の黒糖を米麹の2倍量使い、原料由来の香りをしっかりと引き出すこと。沖縄産サトウキビは、茶褐色で、収穫したての香りが良いものを中心に仕入れ、12~3月ごろの気温が低い時期に丁寧に仕込みます。2~3年寝かしてまろやかになった原酒をブレンドし、瓶詰め。丸みのある味わいと長い余韻を楽しむことができ、一口飲めば、優しく穏やかな島の風景が目に浮かぶようです。

蔵ではほかにも、減圧蒸留でやわらかい味や香りを作り出した「はなとり」や、沖永良部の方言で「おいしい」を意味する名が付いた銘柄「まぁさん」も造っています。さわやかなブルーのボトルのように、クセがなくさらっとした飲み口が人気の「はなとり」は、焼酎が苦手な人や女性にもおすすめ。また、シェリー樽で熟成させた原酒をブレンドした奄美黒糖焼酎「まぁさん」は、島内限定(物産展を除く)販売。炭酸で割った350ml缶の「まぁさんハイボール」も人気です。

いろいろなお話を聞きながら、試飲させてもらいました!

畑仕事を終えて家に帰り、奄美黒糖焼酎で晩酌して、明日も頑張る英気を養う。そんな島民に愛される銘柄でありながら、蔵では世界市場にも進出を始めています。「世界ではまだまだ奄美黒糖焼酎の認知度は低いです。海外ではお酒を水で割る文化がないので、ストレートで飲んでおいしいと感じてもらえる酒質を目指して、試行錯誤を続けています」とお話しくださいました。島の暮らしに寄り添う奄美黒糖焼酎が、世界でも愛される日を目指して、德田さんたちの挑戦は続きます。

景勝地|笠石海浜公園

花の島・沖永良部島で、四季折々の亜熱帯の花々を鑑賞できる笠石海浜公園。中でも4月下旬~5月中旬にかけて咲き誇るえらぶゆりは必見。島民によって植えられたテッポウユリや色とりどりのスカシユリを見に、毎年多くの人が訪れます。美しい海を眺める展望台や、白い砂浜が広がるビーチ、キャンプができる芝生広場もあり、のんびり過ごすことができます。

体験・ショッピング|エラブココ(沖永良部島観光案内所)

空港から続く県道84号線沿いにあるエラブココは、観光案内所や土産店、コワーキングスペースも備えた便利な施設。売店は、定番のお土産から、カフェや果樹園のこだわりアイテム、ジュエリー、アパレルまで、島内一の品揃え。原田酒造の「Dragon Island」や、沖永良部酒造の「まぁさんハイボール」もあります!夜光貝でハンドメイドしたアクセサリーも人気だそう。

夜光貝の表面を削り、丁寧に磨くことで虹色の輝きが生まれるそう

おきのえらぶ島観光協会の久米陽子さんに、おすすめの体験型ツアーを紹介してもらいました。

シュノーケリングなどのマリングッズや、BBQコンロのレンタルもありますよ!

思い出作りにぴったりの、美ら玉ちゅらだま作り体験はいかがですか。ビーチで拾ってきた貝殻やシーグラスを使って、世界で1つのオリジナルアクセサリーを作ることができます!ガラスドームに好きなパーツを入れて、固めたら出来上がりです。お子様から大人の女性の方にまで人気の体験です。

ビーチピクニックツアーは、島民おすすめのプライベートビーチでのんびり時間を過ごせるおすすめのプラン。この日は、大河ドラマ「西郷どん」ロケ地にもなったシニキニャ浜に連れて行ってもらいました。開放感があって海は抜群の透明度!オプションで、お弁当の注文や、ビーチパラソル、ハンモックなどのレンタルをすることもできます。

満天の星空の下、ライトアップされたビーチで焚き火を楽しめるナイトピクニックツアーもおすすめです!

景勝地|昇竜洞

沖永良部には約300もの洞窟や鍾乳洞があり、ガイド付きのケイビングツアーが人気です。その中でも国内最大級のフローストーンをガイド無しで見学できるのが、鹿児島県の文化財・天然記念物に指定されている昇竜洞。昭和38(1963)年に発見された鍾乳洞で、全長3500メートルのうちの600メートルを探検することができます。長い年月をかけて結晶化した銀白色のフローストーンは圧巻!クリスマスツリーやナイヤガラの滝、夢の国、きのこの森など、自然が作り出した様々な造形美を鑑賞できますよ。

探検後は、出口にあるカフェでひとやすみ。

「あ!テーブルの形が沖永良部島だ!」

景勝地|奄美群島国立公園 田皆岬

島の北西部、東シナ海に突き出した田皆岬は、奄美群島国立公園指定、奄美十景の1つにもなっている絶景スポット。サンゴ礁が隆起してできた断崖絶壁から、東シナ海と島沿岸を一望できます。ちょっとドキドキしますが、崖下を見下ろせば透明感のある美しい海とサンゴを拝むことができますよ。運が良ければウミガメが泳ぐ姿も見ることができるそう!1~2月にはザトウクジラも現れ、ホエールウォッチングを楽しめます。

グルメ|居酒屋そう

和泊港近く、みじらしゃ通り商店街からも近い居酒屋草は、沖永良部の郷土料理や奄美黒糖焼酎を楽しめる人気店。家庭菜園で採れた野菜や、沖永良部近海で獲れた魚介類を中心に、地のものや旬のものを堪能することができます。店主の新納佳輝さんはケイビングガイドもされていて、洞窟や鍾乳洞、島の観光スポットなども聞くことができますよ。

「本日のおすすめ」をお願いしました。まずは沖永良部産のきくらげ酢味噌かけ。島で育ったさとうきびの搾りかすを使って栽培したきくらげは、旨みたっぷり、肉厚で食べ応えのある逸品です。合わせるのは、沖永良部酒造の奄美黒糖焼酎「はなとり20度」のロック。アルコール度数が低めでさらっとした飲み口です。

豚の角煮や、もずくとアオサの天ぷら、フーチャンプルきくらげ入りなど、人気の島料理もいただきました。フーチャンプルは、麩のふんわり食感ときくらげのコリコリ食感、甘めの味付けが、箸もお酒も止まらないおいしさです。沖永良部酒造「まぁさん」の炭酸割は、樽熟成ならではの甘い香りとふくよかな味わい。おかわりで、新納酒造「天下一」を炭酸割でいただきました。さっぱりした飲み口ですが、柔らかく爽やかな黒糖の香りが立ち、鼻からすぅーっと深呼吸したくなるような至福の味わいです。

デザートに、沖永良部の郷土菓子「やちむち」を注文。黒糖の素朴な甘みと、もっちもちの生地がホッとするおいしさ。花や果実を感じさせる清涼感のある香りが楽しめる原田酒造「PUKA PUKA」の炭酸割と一緒にいただけば、胸もお腹もいっぱい!旅の疲れも癒されていくようです。居酒屋草オリジナルのやちむちの素「やちむっち」はぜひ手土産にどうぞ!

※本記事の情報は、取材当時のものです。

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