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島の香りに癒され、島の時間を満喫する、日帰り種子島

島の香りに癒され、島の時間を満喫する、日帰り種子島

宇宙センターや鉄砲伝来の地として有名な種子島。鹿児島本港からは高速船で約90分と、鹿児島本土にもっとも近い離島です。たまにはいつもより足を伸ばして、海や自然に囲まれた離島で、大切な人と特別な体験をしてみませんか。日帰りとは思えないような島旅を、五感で満喫してください。

この地域で生まれ、この地域に還っていく郷土の焼酎を―高崎酒造株式会社―

まず訪れたのは、創業明治36年、約120年もの間、西之表の地で焼酎製造を続けている高崎酒造です。

案内いただくのは4代目の高崎吉弘社長

工場見学の前に、焼酎の原料となるさつまいもの収穫の様子を、特別に見学させてもらいました。高崎酒造では、島内の契約農家が栽培した品質の良い掘りたてのさつまいもだけを使い、焼酎を造っています。

「しま甘露」の原料となる「コナホマレ」を収穫中。

土の匂いに導かれて目線を落とすと、まだ土をまとったままの掘りたて新鮮なさつまいもがずらり!ごつごつとした形、ずっしりした重さから、さつまいもの生命力を感じます。

この白っぽいさつまいもから、口当たりやわらか、まろやかな味わいの「しま甘露」が造られます。

農家の小川正美さんは、家族で「コナホマレ」や「シロユタカ」を栽培されていて、高崎酒造とも長い付き合いです。

オーギ(種子島の方言でサトウキビ)も栽培されている万能農家!

近年はサツマイモ基腐れもとぐされ病が流行っており、これまでと同じ品質や量のさつまいもを作ることが難しくなっているそうです。「昨年と同じことをやるって簡単そうだけど、それが難しい」と小川さんは話します。農家の方々の苦労があってこそ、私たちはおいしい焼酎を飲めるのだと痛感しました。

小川さんとも仲良しになりました♪

工場がある西之表市の安納(あんのう)地区は種子島の東側に位置しており、周辺にはさつまいも畑が広がり、工場からは海を臨むことができます。

高崎社長ともすっかり仲良しになりました♪

青い空と青い海、吹き抜ける風。そして地下162メートルからは良質な弱アルカリ性の軟水が湧き出ています。焼酎の命ともいえる良質なさつまいもと地下水が手に入る場所で、高崎酒造の焼酎造りは行われているのです。

工場前には農家の方から届いたばかりのさつまいもが!

中に入るとさっそく、「芋洗い」、「芋切り」の作業中でした。畑から届いたさつまいもは、できるだけ速やかに加工します。網袋に入った大量のさつまいもは芋洗い機で洗浄され、そのままゴロゴロと芋切りレーンへ。

1袋約500キログラム!

ぞくぞくと転がってくるさつまいも。これを女性スタッフの方々が、ヘタや傷んでいる箇所だけをささっと包丁で切り落としていきます。その素早さたるや、まさに職人技! 7,8人程度で、1日に約4.5トンの量を捌き切るそうです。まさに熟練の技がなせることですね。

目にも留まらぬ速さです!

切り終えたさつまいもは巨大な蒸し器へ移され、蒸気の熱で一気に蒸していきます。ひと晩冷ましたのちに、細かく粉砕するそうです。

音も量も大きさも、すべてが大迫力!

さぁ、さつまいもを冷ましている間に、芋焼酎のもうひとつの大切な原料、もろみづくりの流れも教えてもらいましょう。もろみは、洗った米を蒸しそこに麹菌を加えて造っていきます。「しま甘露」は白麹、「黒甘露」は黒麹を使っており、「黒甘露」にはねっとりとしたコクが現れるそうです。原料や製法の僅かな差が味や香りに如実に現れる、奥が深い世界ですよね。
そうしてできた麹米に、水と酵母菌を加えて発酵させるのが「1次仕込み」の工程です。深さ2.5メートルほどあるタンクの中で、時間をかけて発酵させていきます。この発酵の過程でアルコールが造られるのです。ポコポコと小さい音を立てながら、一次もろみは6日間寝かされます。

既に焼酎の香りが漂います。

「2次仕込み」では、蒸して細かく砕いたお芋と、1次仕込みでできたもろみを合わせます。あれだけの量のさつまいもともろみを合わせるので、2次仕込みのタンクは非常に大きいです。発酵するために温度管理が大切なこの工程。タンクの外側に水を流したり、櫂棒で混ぜたりと、数々の工夫で適温の約30℃を保っています。
タンクを覗かせてもらうと、、、なんと、中で2次もろみが動いています!表面がブクブクと泡立っていたかと思うと、数分後にはボコボコと泡立ちが激しくなり、もろみ全体が混ぜ合わさっていくようです。「酵母の発酵の力で自然に回転するんですよ」と高崎社長。自然の力に驚きを隠せません!

中にかき混ぜる機械があるのかと思うほど大きく動いています。

櫂入れも体験させていただきました。長さ3メートルほど、自分の身長よりもずっと長い櫂棒をタンクに差し入れ、底から持ち上げるように全体を混ぜていきます。

ずっしりと重く、もろみとお芋が混ざった粘り気を感じ取ることができます。

混ぜる度にアルコールの匂いが強くなり、作業中に酔っぱらってしまいそうなほどです!この櫂入れをすると、中身がよく混ざり、温度も少し下がります。そうやって大切に面倒を見ながら、この2次仕込みでは9日間もろみを寝かせていきます。
櫂入れ体験を教えてくださった蔵人の田元さんは、まさに実直な職人。高崎社長も「口で語らず背中で見せくれるような、頼れる人です!」と顔をほころばせていました。

蔵人が櫂入れする様子に釘付け!

さて、2次仕込みが終わると、とうとう「蒸留」の工程です。もろみをタンクに入れ、90℃の蒸気を吹き付けます。つながったもう一つのタンクには温度の低い水を入れているため、この温度差で湯気が水滴に変わります。これが、私たちの口に入る芋焼酎の「原酒」です。長い長い道のりを経て、さつまいもとお米から芋焼酎が出来上がりました!
原酒のアルコール度数は、40度近くもあります。これを熟成・ろ過したのちに水を加えて、なじみのある25度まで調整。瓶詰めすれば完成です!貯蔵や熟成も、温度を管理して適切に保たねばならず、たくさんの苦労があって私たちのところへ届いていることを実感できました。

出荷を待つ「しまむらさき」

工場見学を終え、車を走らせて種子島の西側、西之表港近くの本社に隣接する売店へ。モダンな雰囲気の店内では、お買い物や、バーカウンターで試飲もできます。

オリジナルのロクヨングラスやTシャツも要チェック!

「しま甘露」をはじめ、種子島発祥の安納芋を原料にした「しま安納」、種子島ゴールド(紫芋)で作った「しまむらさき」など、高崎社長の丁寧な説明を聞きながら、1本ずつ試飲していきます。それぞれ鼻から抜ける香りや、舌の上に広がる味わいが異なり、お気に入りを探し当てるような気分です。

約7割が地元で消費されるという「しま甘露」は、まさに地元の焼酎。

若い人に人気というおすすめの「しまむらさき」のソーダ割をいただきました。爽やかで軽い飲み口と、広がる甘い香りがとても飲みやすく、種子島の郷土菓子(黒糖の豆菓子)をつまみながらいただくと、もう止まりません!お土産に買って帰って、知り合いにも薦めたくなる1本でした。

かまど直火による昔ながらの製法で手作りした豆菓子とともに。

最後に高崎社長は、「原料も地元の農家が作ってくださって、作ったものを消費しているのも地元の方。地域との繋がりがなければうちはありません。大きく言ってしまえば農家の後継者問題にも望みが持てるように、うちが貢献できることもあると思うんです。これからもぶれずに、地元と共に発展していくことを考えていけたらと思っています」と話してくださいました。地元を愛し地元に愛される焼酎蔵。工場見学を通して、すっかりファンになってしまいました。

地元への想いと決意を伝えてくださった高崎社長

「風の島」を実感する景勝地 ―天女ヶ倉あまめがくら公園―

種子島は「風の島」と呼ばれることもあるほど、ときに厳しく、ときに穏やかに、気持ちのよい風が年中吹いています。平地が多い種子島で天女ヶ倉公園は標高が237.9メートルと高く、太平洋を一望できるスポット。目で景色を楽しみ、体で風を感じ取ることができます。眼下には木々や田園風景が広がり、その先にどこまでも続く太平洋。朝日や星空の絶好の観賞スポットでもあります。

中央には、先ほど見学した高崎酒造の工場も見えます!

また西之表市は、全日本ヨガ連盟選定の「ヨガの聖地」に認定されており、景勝地でヨガをする島民の姿を見かけることがあります。雄大なパノラマを眺めながらヨガを行えば、心も体も整うような気分になれるはず。

オブジェと並んでポージング

園内には季節外れの桜が咲いていました。温暖な種子島ならではの光景で、幸運な方は見られるかもしれません。

撮影日は10月下旬です!見つけた時は驚きました。

非日常を体感。太平洋を望むリゾートヴィラ―ゼウスビーチパーク―

種子島でぜひ訪れてほしい話題のスポットが、ゼウスビーチパークです。種子島の波と風を間近に感じられるオーシャンフロントロケーションに、ヴィラとトレーラーハウスの客室を全9棟構えています。潮風に吹かれてまったりと過ごせるテラスに、まるで海と一体となった気分を感じられるようなジャグジーまで。波音と島風に包まれて、大切な人と極上のリゾートタイムを過ごせそう。

ゼウスビーチパーク内のレストランでは、ランチにハンバーガーやピザ、シェフこだわりのカレーライスなどを提供しており、休日の昼間には若い方をはじめとした島民で賑わいます。

開放感あふれる窓辺の景色を見ながら食事を楽しめます。

初心者でも楽しめるサーフィンスクールも行っています。ヴィラを出て目の前の海でサーフィンなんて、まさに非日常で贅沢な体験。そのほかにも釣りやダイビング、シュノーケリングなど、種子島に来たらぜひ挑戦してみてほしいアクティビティが満載です。

海外リゾートのような風景

種子島で整う、源泉かけ流し温泉 ―種子島温泉 赤尾木の湯―

旅のしめくくりは、やはり温泉でしょうか。一日中楽しく過ごしたあとに入る温泉は、今日の疲れを取り除くとともに、思い出を振り返る貴重な時間になるはずです。種子島温泉「赤尾木の湯」は種子島で唯一の源泉かけ流しの温泉で、『炭酸水素塩温泉』という泉質は、美人泉質とも呼ばれており、古い角質を落として肌をすべすべにする特長があります。
西之表の中心地にある、創業170年以上の老舗「種子島あらきホテル」に併設されたこの温泉は、エントランスから伝統を感じる凜とした趣。

台湾の九份きゅうふんを思わせる赤い提灯が印象的

浴場内は内湯だけでなく、星空を望める露天風呂やスチームサウナ(女湯)、ロウリュサウナ(男湯)など、本格的な温泉を楽しむことができます。かけ流し温泉の源泉は約40度。なめらかな肌触りと熱すぎない温度に、ついつい長風呂してしまいそうです。

ロウリュ(アウフグース)は夜に2回。星空を眺める外気浴で整います!

朝6時から23時まで営業しているので、早朝、高速船が出発する前にここで英気を養ってから西之表港へ向かう島民もいるそうです。雨よけの通路や、地元の方々の寄り合いの場になっている無料の足湯など、地元に愛される魅力の詰まった、素敵な温泉です。

今回の旅で、2人ももっと仲良くなりました♪

※本記事の情報は、取材当時のものです。

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