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サツマイモと焼酎

サツマイモと焼酎

本格芋焼酎に欠かせない原料の1つ、サツマイモ。鹿児島との深く長い関わりから、人気の香り系焼酎を生み出す様々な品種や仕込みのこだわり、サツマイモと焼酎のこれからまで、サツマイモの世界を”根堀り葉掘り”ご紹介します。

サツマイモはどこからやってきて、芋焼酎はどのように生まれたの?

サツマイモのルーツは紀元前1000年頃。メキシコなどの南アメリカで生まれ、その後15世紀の終わり頃にヨーロッパへ渡り、東南アジア、中国、琉球へと伝わったとされています。サツマイモが「唐芋からいも」とも言われるのは、中国から来た芋だから、という説があります。

そして1705(宝永2)年、指宿市山川町で船乗りをしていた前田利右衛門が、琉球から鹿児島本土に初めてサツマイモを持ち帰り、栽培に成功。鹿児島特有の火山灰が降り積もったシラス台地は、稲作には不向きでしたがサツマイモはよく育ったことから、鹿児島の温暖な気候も相まって、瞬く間に鹿児島全域に広がっていきました。サツマイモの普及のおかげで、多くの人々が飢餓から免れることができたとも言われています。

甘藷翁からいもおんじょ」と崇められる前田利右衛門が祀られている、指宿市の徳光とっこう神社(写真提供:指宿市観光課)

そのサツマイモが焼酎造りに使われるようになったのは、幕末の薩摩藩主・島津斉彬公の時代です。日本の近代化の礎を築いたとも言える集成館事業において、斉彬公は銃の開発に必要だった大量の工業用アルコールを、米より安価なサツマイモで造ることを思いつきます。そしてついには、余ったアルコールの製造方法を改良し、飲む酒として薩摩藩の特産品にせよとの命が!

そうしてあっという間に、芋焼酎は薩摩の酒として、全国各地に広がっていったのです。

重要文化財となっている鹿児島市磯の集成館機械工場(現在は博物館・尚古集成館として親しまれている)。(写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟)

“0.2%”で全然違う!サツマイモが生み出す、本格焼酎の豊かな香り

芋焼酎のふわっと漂う個性豊かな香り。ほぼ水とアルコールでできている焼酎の中で、サツマイモや麹、蒸留・熟成方法などに由来する“0.2%”の香り成分が、数ある銘柄の個性を作っていると言っても過言ではありません。

芋焼酎ならではの香り成分として、モノテルペンアルコールやβ‐イオノン、β‐ダマセノンなどが挙げられます。それぞれ、サツマイモの品種に由来する成分が、原料処理や発酵・蒸留の条件、麹菌や酵母の種類などさまざまな要因によって、果物や花などのような香りに変化。焼酎蔵ではこれらの香りをバランスよく引き出すために、さまざまなこだわりを尽くしているのです。

これらの香り成分は、サツマイモの品種によって含有量が異なり、主に4つの色味に分けられます。芋焼酎造りに使われるサツマイモの品種は40種類以上あると言われていて、主力は焼酎用に開発された、白系のコガネセンガンですが、近年では香り系焼酎の人気の高まりもあり、ますます原料芋の多様化が進んでいます。

サツマイモの品種によって、焼酎を飲み比べてみるのもおもしろいですよ!

焼酎蔵がこだわる、サツマイモの仕込み

サツマイモの品種によって香り成分は異なりますが、さらに言うと、栽培期間や使う部位、使うタイミングでも風味は変わってきます。

例えば、植え付け後150日前後のサツマイモで造る焼酎が最も「芋焼酎らしい」「甘い」と評価されるのに対し、180日と長いものは「華やかさ」が増す傾向にあるそうです。また、サツマイモの中心部を使えば「淡麗」「すっきり」とした酒質に仕上がり、表皮に近い部分を使えば「華やか」「柑橘」のような風味の酒質に仕上がるそうです。

また、収穫したサツマイモは鮮度が命。芋イタミ臭を発する傷んだ不良芋としないために、土が付いたまま新鮮なうちに蔵元へ運ばれると、1つ1つ傷のある箇所を丁寧に切り落として仕込みに使われていきます。

近年では、収穫後のサツマイモを敢えて熟成させ、糖度を上げてから仕込みに使うことで、華やかな香りを際立たせた商品も登場しています。腐敗させずに熟成を進めるため、試行錯誤して各蔵独自の方法が編み出され、「まるで芋焼酎とは思えないようなフルーティーな香りがする」と、人気を集めているのです。

サツマイモ以外にも、使う麹菌や酵母の種類、発酵や蒸留の方法によって、焼酎の風味はまったく異なってきます。風味を「見える化」したフレーバーホイールを参考に銘柄を選んでみるのもおすすめですよ!

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サツマイモと焼酎の未来

香り系焼酎の人気の高まりから、焼酎蔵の中には新たなサツマイモの品種を開発したり、独自でサツマイモ栽培から手掛け始めたりするところも増えてきています。

その一方で、サツマイモの産地では2018(平成30年)頃から、サツマイモ基腐もとぐされ病による影響も深刻となりました。茎や葉が枯れて収穫ができなくなってしまい、銘柄の一部を販売できなくなる焼酎蔵も。

この状況を乗り越えるため、生産農家ではサツマイモの収穫時期を早めて病気にかからないよう対策したり、焼酎蔵では病気に強い新たな品種で焼酎造りを始めたりと、様々な取り組みも始まっています。消費者が好むものを安定的に生産できるよう、生産農家と焼酎蔵は一体となって模索しているのです。

これまで、お湯割りの「ロクヨン」文化が世間に広まった1970年代の第一次本格焼酎ブームに始まり、プレミアム焼酎や健康志向の高まりから芋焼酎が再び注目を浴びるようになった2000年代の第三次本格焼酎ブームと、時代に合わせて本格焼酎は変化してきました。

伝統的な酒造りとして令和3(2021)年には「登録無形文化財」に認定され、世界に誇るべき國酒として、本格焼酎は今、次の時代を見据えた過渡期を迎えています。日本一のサツマイモ生産地である鹿児島の、良質なサツマイモを使った本格焼酎の文化を守り、発展させ、広げていくため、ぜひサツマイモや各焼酎蔵の新しい取り組みにも注目しながら、焼酎を楽しんでみてもらえたらと思います。

※本記事の情報は、取材当時のものです。

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