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製造責任者・四元 貴教さん 四元酒造株式会社

製造責任者・四元 貴教さん
四元酒造株式会社

鹿児島県工業技術センターでの学びと、引き継いだ技術に育まれた種子島の焼酎

四元酒造株式会社 製造責任者・四元 貴教さん

豊かな大自然に囲まれた歴史の島、種子島。南北に長い島の中央付近にあるのが中種子町です。

今回お話を伺った四元酒造の創業は明治42(1909)年。初代の四元佐一郎氏が鹿児島市谷山より移住し、ここ中種子町で焼酎製造を始めました。
そして昭和40(1965)年、現在の四元酒造株式会社と体制を整え、その後、代表銘柄にもなる「島に泉のごとく湧く焼酎」という思いを込めた「島乃泉」が誕生しました。

中種子町のあゆみをまとめた町史にも四元酒造の記載がある
建物の前にある存在感のある黒い金属は、以前使われていた焼酎造りに欠かせないボイラー

先代(父の一記氏)亡き後、焼酎造りの後継者に声が掛かったのが、当時県外で化学を学んでいた貴教さん。家族の声に応え、平成7年に入社しました。

貴教さんは種子島へ帰ってきましたが、島に戻る前は焼酎の瓶詰めの手伝い程度しか関わったことがなく、造り方などは未知の世界でした。そこから始まった、本格焼酎造りを極めるための長い道のり。貴教さんは鹿児島県工業技術センターで焼酎の基礎から学び、さらに蔵の杜氏から技術を見て学ぶことを繰り返しました。

仕込みの時期は蔵、それ以外の時期は県工業技術センターで学ぶという日々を重ね、平成17(2005)年に製造責任者に就き、現在に至るまで焼酎造りと向き合っています。

製造責任者の四元貴教さん

現社長・四元浩昭さんと従業員のみなさん

種子島産の芋にこだわることが味わいの源

美味しい焼酎を作るため、仕込みの米と芋の配分を変えるなど試行錯誤を重ねてきた貴教さん。種子島にある四元酒造にとって焼酎造りで重要視しているのが、「種子島産の芋にこだわる」ことでした。

代表銘柄の「島乃泉」は種子島の大地で育ったサツマイモ「シロサツマ」を使用。「コガネセンガン」ではなく、デンプン用として使われることの多い芋だった「シロサツマ」を使用することにより、「島乃泉」は華やかな香りとすっきりとした味わいが魅力となっています。

四元酒造で作られている銘柄。左から、「島黒」「島乃泉」「紫育ち」「紅子の詩」

ただ、近年では生産者の高齢化や島を離れる若い人もおり、芋の生産量の不足も深刻になりつつあるといいます。元々芋の生産も行っていましたが、芋が足りないことから、思うように焼酎が作れないということもあるそうです。種子島の焼酎蔵を長く続けるうえで、解決していかなくてはいけない課題ととらえています。訪れたその日は、ちょうど芋の植え付けを行う時期で、蔵の目の前だけでなく、町内にある芋の圃場で植え付けが行われていました。

原料となる芋の生産にも取り組んでいる

原料となる芋の生産にも取り組んでいる

「町の人が飲んで、毎年、『今年はよかできやな』と言ってくれるのが1番嬉しい」と話す、貴教さん。公民館での会合や近所の家に集まって集会があるときなど、地域の人々の会話の真ん中にある焼酎は中種子町唯一の蔵である四元酒造一択。みなさん頬を赤らめ、気持ちよさげに語り、おいしいと話してくれる声が励みになっているとのこと。

「父とは一緒に飲んだ思い出がないんです。飲む前に亡くなってしまったので。ただ、父も人に飲ませるのは好きだった、という話を地域の大先輩方たちと語った時に聞くことがあります。そのエピソードを聞くたびに、一緒に焼酎を飲みたかったなと思いますね」。

先代から受け継がれる想いものせて、四元酒造の焼酎造りの思いは大切に引き継がれています。

種子島の豊かさを、ニガダケやイソモノで味わう

今回、貴教さんに連れていっていただいたのは、1997年のオープン以来、多くの人に愛されてきた居酒屋「さぶちゃん」。地元の人が普段食べているような、島の豊かさを感じられる料理を提供する店として、種子島を訪れた人に評判の場所です。

さぶちゃんこと店主の鏑木三郎さんと、おかみの優子さん

さぶちゃんこと店主の鏑木三郎さんと、おかみの優子さん

まずいただいたのは、種子島の名物でもある「ニガダケ」。タケノコの一種で4月の上旬がはしりで、盛んになってくるのが4月中旬ごろ。また秋にも9月の中頃から10月にかけて、秋筍とよばれるものが再び土の中から顔を出すそう。夏場も先端部分のみ食べられるそうですが、一本まるまる、筍のおいしさが凝縮されたものがいただけるのは春の頃だとか。

ニガダケの旬は春。季節感を感じる天ぷらが一番のおすすめ

ニガダケの旬は春。季節感を感じる天ぷらが一番のおすすめ

このニガダケは、名前の通り、タケノコの食感と、味わいの一つでもある春を感じる苦みをかすかに感じます。「天ぷらや焼いて食べるのがおすすめだけど、せっかく食べるなら、春がいちばん美味しい」と優子さん。

次にいただいたのは「からいもせん」。焼酎と同じサツマイモを原料にしたデンプン粉を水溶きして油で揚げたものを指し、島民に愛され続けるソウルフードな存在です。

ねっとりもちもちの食感。「種子島チヂミ」と呼ぶお客さんもいる

最後にいただいたのは、「磯物」。ナガラメにも似た「アナゴ(イボアナゴ)」や、「カメノテ」など、種子島で採れた貝が盛りだくさん。ちなみに、種子島では黒い巻貝を「黒ミナ」、爪の形をしている貝を「爪ミナ」と呼ぶそう。大小さまざま、色とりどりの「磯物」で種子島海の幸を存分に楽しめます。

この店を訪れた様々な人を虜にしてきた、素材の美味しさに浸れる「磯物」

店主さぶちゃんのおもてなしの笑顔と、優子さんのお二人が醸し出す、まるで実家に帰って来たような安心感。「島乃泉」の水割りを片手に種子島の豊かさを感じる料理をつまみながら、ゆっくりと心地よい時間が過ぎていくのでした。

※本記事の情報は、取材当時のものです。

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